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失われた農家のアントレプレナースピリッツ

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羽田野真寛

羽田野真寛

2017/03/08

 
 
 後継者不足、高齢化、耕作放棄地、残留農薬・・・など日々ニュースや紙面を賑わせていており、問題が山積している農業界。生産人口もどんどん減り、もはや衰退産業とまで言われ、新規就農する人は決して多くありません。
 
 今回は農家の数が減ってきた理由とこれから、という部分について自分の考えていることをまとめたいと思います。
 
 
 
 


産業構造の変化が農家の仕事を限定した


 
 現代、農家は大きく兼業農家、専業農家と2つに分かれます。これは農業1本だけでは食っていくこが難しくなり働きながら農業をする人が増え、技術の進歩により農業だけに専業していなくてもある程度生産ができるようになったという背景があります。意外に思われるかもしれませんが今より200年以上前の江戸時代にはほとんどの農家は兼業農家でした。当時の農家は生産の他に、生産したものは自分で販売もするし、閑散期に民芸品を作って販売もするし、医者や猟師を同時に行う農家など、今以上に多様な生業を持つ農家が多い時代でした。
 
 明治維新後、産業構造が変化する過程で全ての産業で効率化が求められ、農家は徐々に生産に集中しいわゆる専業農家へと変わっていきます。その結果今までの多様な生業を持つ農家が減少するのですが、戦争〜高度成長期と生産に集中したほうが「儲かる」という時代に突入し、農家の仕事が生産へと「限定」されていきます。
 
 
 
 


限定されてきた結果立ち行かなくなる


 
 高度経済成長期までは生産に集中していれば農業はある程度の収入の見込める職業ではありました。しかし、それ以降海外からの安価な作物が輸入され、米の価格は下がり続け、生産に集中していた農家が徐々に厳しくなり始めます。
 
 その結果徐々に農業=儲からないという状況になり始め、(現代の)兼業農家になる農家や、引退しても子供には農業を継がせないと言う農家が増えてきたのです。現に1990年からその減少の勢いは加速しています。そのような状況(儲からない)を見てきた我々若い世代が農業をやりたいか?と言われるとなかなかYESとは言えず、また現役世代の農家も息子には農業をさせたくないという言い出すような状況となっているのです。
 
 
 
 


「百姓」に戻る


 
 産業構造の変化、環境の変化により農業が厳しい産業へとなってしまったのですが、これは産業や環境のせいだけでなく、きつい言い方ですが農家自身がそこに甘んじてしまったということも問題の1つとして大きいと考えています。元々江戸時代の農家は自ら多様な生業をもって生活をおり、ある種のアントレプレナースピリッツを持っていましたが、現代ではそのスピリッツは失われているように感じます。
 
 元々「百姓」はたくさんの性、つまり国民全般を指す言葉ですが、私は百姓は「100の生業を持つ者」と考えており、農家ももう1度江戸時代の「百姓」に戻る、アントレプレナースピリッツを取り戻すことがこれからの農業界を変え、新しい農業従事者を増やすことと考えています。
 
 もっと言えば、新規就農=生産者になる、ではなく新規就農=アグリアントレプレナーになる、というような意味で使うべきだと思っており、今後会社としても個人としてもそこを伸ばすような事業を展開していく予定です。
  
 

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羽田野真寛

羽田野真寛

株式会社ケイエスケイシステム代表取締役 東京大学大学院農学生命科学生命科学研究科 修了 農業を軸とした事業を展開
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