ホーム > コラム > ayashimohara > 500年の時を超えて-クラーナハ展-

500年の時を超えて-クラーナハ展-

logo
ayashimohara

ayashimohara

2017/04/03

今回は中之島にある国立国際美術館で開催されているクラーナハ展-500年後の誘惑-を鑑賞してきました。

 

クラーナハ個人にフォーカスを当てた回顧展は日本では今回が初ということで、世界10カ国以上から集められた絵画120点以上を鑑賞できるまたとない機会になっています。

 

クラーナハは宗教画や肖像画など多くの作品を残している画家ですが、私が特に楽しみにしていた作品は裸婦画、さらに言えばファム・ファタルを題材にしたものです。

 

img_0002

 

ファム・ファタルとは、クラーナハの絵画にも登場するサロメやユディトといった、美しさで男を誘い、虜にしては破滅に追い込む魔性の女、中国や日本で言う傾城、傾国の美女、もっと平たく言えば、美人だけどすっごい悪い女、といったところでしょうか。

 

このファム・ファタルですが、クラーナハが活躍した1500年代よりは、もっと後の19世紀末から20世紀初頭の、いわゆる世紀末芸術時代に流行ったモチーフで、当時のデカダンスブーム(退廃的なモチーフや生と死(エロスとタナトス)を連想させるような作風)も合間って、モロー、シュトック、クリムトなど、数々の画家たちによく描かれました。

 

ファム・ファタルを題材にした絵画は、非常に好きな作品が多いのですが、クラーナハの作品も特徴的で魅力的です。

 

ファム・ファタルに限らず彼の描く裸婦像は、これまでよく描かれてきたようなふくよかなシルエットではなく、ややすらりとした体で美しい緩やかなS字が特徴です。

 

また、背景を真っ黒にして裸体を浮かび上がらせるような効果を出し、身にまとった透明のベールのディティールが、体の細部に目がいくように計算されていて、美しくも不気味で、なお且つかっこよく、スタイリッシュなデザイン的手法も用いています。

 

それから、美しい悪女の含みを帯びた表情も魅力の一つです。

 

彼の描くファム・ファタルは、絵画の中からこちらに焦点を合わすように描かれることが多く、今にも「ふふんっ」と鼻で笑う声が聞こえてきそうな、なんとも言えない表情でこちらを見据えます。

 

上半身を画面いっぱいに描いた構図が多く、非常に迫力がありファム・ファタルの美しさと強さに圧倒されます。

 

img_0001

 

今回の展示でもう一つ目を引いたものがあります。所狭しに配置されたクラーナハの作品の合間ごとに登場するピカソの作品です。

 

ピカソは非常にクラーナハから影響を受けたようで、クラーナハの作品をオマージュしたものや、手法、構図などを取り入れた自身の作品も一緒に展示されていました。

 

ピカソとクラーナハの関係だけでなく、画家が他の作家の作品から影響を受け、自身の作品に投影する、と言う話はよく聞きます。

 

絵描きやクリエイターの皆さん。

たまには制作の手を止めて、絵画鑑賞はいかがでしょうか?

500年前の絵画から何か制作へのヒントが得られるかもしれませんよ。
 
 

«

»

ayashimohara

ayashimohara

1986年生まれ 京都嵯峨芸術大学でデザインを学んだのち、アクセサリー制作会社にてレディース服飾雑貨、アクセサリーのデザイナーを経験後、ティーン・子供向けアパレル商品制作会社にてテキスタイル図案デザイナー・イラストレーターとして勤務。 在職中から、個展、展覧会に多数参加し、アート活動を精力的に行う。主に女性を中心に人物イラストを作成し、海外ライクなカラーリングや作風が受け、ニューヨーク、ロンドン、シドニーなど多くの海外ギャラリーで活動。 写実的なリアルなイラストから、アメコミのようなポップなテイストも制作。また、絵の具や鉛筆を使った手描きも、パソコンを使ったグラフィカルなデジタルイラストも、色々なテイストのイラストレーションを制作。アパレル会社でのデザイン経験から、ファッションやトレンドを意識した作風で、アパレル商品や、女性向けイラストなどに作品をご提供。様々な媒体で活動中。 商業イラストだけでなく、アート活動も随時行なっておりますので、展覧会やアートエキスポなどのお誘い、ご依頼も承っております。
title

現状維持は緩やかな下降 〜UNKNOWN ASIAを終えて〜

taiwan

日本への警鐘?アートな街台湾

14623211356_daf138da74_z%e3%81%ae%e3%82%b3%e3%83%94%e3%83%bc

「最後は人間性」これって綺麗事?