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農業・農家を支援する〇〇とかについて思うこと

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羽田野真寛

羽田野真寛

2017/05/10

 
 
 近年、異業界からの農業界進出が増えてきています。流通インフラを活かした新しい流通を提案するサービスや、Iot技術を活かして生産をサポートするサービスなど様々です。これらのサービスの中にはサービス受領者が農家さんで、農家さんからお金を頂いているサービスも多く存在します。
 
 
 一方で農家を支援(助ける・救う)するというようなフレーズで展開するサービスも増えていて、場合によっては農家さんには無償で提供するサービスもあり、それに少し「おこがましさ」を感じるような面もあります。今自分が感じている違和感の部分をまとめてみたいと思います。
 
 
 
 


そもそも農家に支援は必要なのか?


 
 
 
 
 そもそも論的な部分ですが、支援は必要なのでしょうか?個人的な意見ですが、天災時など例外を除いての支援は不要だと考えています。
 
 
 先ず、農業が他の産業と大きく違うのは「自然」による影響を大きく受ける産業であり、また減反など国の政策にも影響を受けやすいという特徴があります。そのような自分たちでコントロールできない要因により影響を受ける農業界の主たるプレイヤーである農家さんに対して「そんな影響を受けるのであれば可哀想だよね。支援しないとね」と思う(思われる)のは理解できます。
 
 
 しかし、他の産業を見てみると、例えば車業界においても為替、原料価格など自分たちでコントロールできない要因により影響は受けているのです。つまり農業だけ特別な産業ということでは本来ないはずで、支援の対象となり得るのでしょうか?
 
 
 更に、農業界の主たるプレイヤーである農家さんは自然や国政による影響を甘んじて受入れているわけではなく、複数種の作物を栽培したり、自分たちで価格を決定できるマーケットに出店したりとリスクヘッジをしています。
 
 
 つまり、農業界だけが特別なわけでもなく、農家さんも十分にそれらを理解して生産をしています。しかし、それでもなお「農家は社会的弱者」だと言わんばかりに支援の必要性を訴えるサービスや考え方が多いという印象を受けています。
 
 
 農家に対して支援が必要という考えは2つの危険性をはらんでいると思います。1つ目は、支援という言葉を使うと、農家という職業を社会的に弱者であるようかのように間違った風潮を世の中に広めてしまい、ますます立場が弱くなってしまうこと。
 
 
 2つ目は、支援をしてしまうと支援の規模によっては農家さんから考える機会を奪い、支援に依存してしまう農家さんを作り出してしまうこと。このようなこともあり、安易に支援というフレーズでサービスを展開するべきではないと考えています。
 
 
 
 


農家はビジネスパートナー


 
 
 
 
 農家さんに対する支援は例外を除いて不要だと考えています。
 
 
 Iot技術による生産サポート、新しい販路の開拓などは支援ではなく、農家さんがサービスを受ける対象者であり、また農家さんの生産物を仕入れて販売するといういわゆる卸しや代理販売も、農家さんはあくまで仕入れ先であり、ビジネスパートナーです。
 
 
 ビジネスパートナーと言うと少しドライな印象もありますが、ビジネスパートバーにはサービス提供者、受領者という上も下もなくお互いフラットな関係性です。
 
 
 人口が減り続け、米、野菜の価格がなかなか上がらない農業界において何かしらのアプローチは必要だと思いますし、それは既存の枠組みの中ではできなかったことも多分にあり異業種からの参入は必要になるでしょう。
 
 
 しかし、だからと言って農家さんに対して支援が必要ということではなく、生産を続けてきている農家さんに対するリスペクトを持ち、あくまでフラットなパートナーとしての関係性を構築できなければサービスそのものも成立しないと思いますし、その先の農業界の成長も見えてこないと考えています。
 
 

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羽田野真寛

羽田野真寛

株式会社ケイエスケイシステム代表取締役 東京大学大学院農学生命科学生命科学研究科 修了 農業を軸とした事業を展開
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