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意外と知られていないギャラリー展示の話〜後編〜

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2017/07/10

イラストレーター・アーティストのAya Shimoharaです。

前回に引き続き、後編では海外ギャラリーからオファーを獲得する方法や、海外ギャラリーで展示する利点などについて書きたいと思います。
 
 
 

オファーをもらうには


 

海外のギャラリーからオファーもらうなんてすごいね!とよく言われるのですが、いつも私は「いやいや、そんなことありません。」と言います。

これは謙遜ではなく、“思っているほど難しいことではない”、と本当に思っているからです。
 
 

日本人キュレーターがいる、または日本人経営者のギャラリーから始めよう

 
 
第2回目のコラムでも日本のアート市場の規模の小ささに触れましたが、日本のアートシーンに落胆しているのはアーティストだけでなくキュレーターやギャラリー経営者も同じではないでしょうか。
市場の大きい海外へ憧れや期待を抱く気持ちも同じだと思います。
そんな海外ギャラリーへ渡った日本人キュレーター、また海外でギャラリーをオープンさせた日本人経営者が、同じく窮屈な思いをしている、実力はあるのになかなか表に出ていけない日本人アーティストを海外で輝かせよう!という動きは結構多いと思います。
海外はとにかくギャラリーの数が半端なく多い。当然ハイレベルなところもあれば多少間口が広く、いらっしゃい精神なところもあります。
初めからオファーをもらうのは無理でも、公募企画などもあるし、売り込みもウエルカムなところが多いです。
入り口はたくさんあります。
まず、最初の一回目をクリアしてしまえば次に繋がる可能性大です。
 
 

それから、日本人キュレーターがいるギャラリーなら日本語でやり取りできる、ということはかなり大きいです。
外国人スタッフだけのギャラリーだと、文化や感覚の違いからトラブルを招いてしまうことも残念ながらあります。
私も過去に苦い経験済みです。
日本人と日本語で意思疎通できる、ということはフラストレーションも少なく、相談もしやすい利点があります。
 
 
 

海外ギャラリーで活動する利点


 

前半で述べたように費用の安さもそうですが、圧倒的に見に来てくれるお客さんも多いし、関係者、アートコレクターも多い。
ブルックリンで個展をした際に、あるキュレーターさんが教えてくださった話がとても印象的でした。

毎週木曜日にギャラリーの展示内容が入れ替わることが多いため、ニューヨーカーは木曜日は仕事を早めに切り上げ、お気に入りのギャラリーを何件かはしごするのだそう。

なんとも素晴しく、素敵な習慣なのだろうと思いました。
 
 
 

次に繋がる可能性やチャンスは多い

 
 
私の海外展示第1回目は、運良くオファーだったのですが、その1回目から今に至るまで、継続的にちょくちょく企画展に呼んでいただいており、ありがたいことに末長いお付き合いになっています。

また、他地域に新しくギャラリーをオープンさせ、そちらのギャラリーでも展示させていただき、一気に別の国にも進出できました。

ギャラリー自体がアクティブなのも海外ギャラリーの特徴だと思います。

オファーだけでは無く、自分でギャラリーが企画する公募展に出したこともあります。
始まりは公募展からですが、こちらも非常に大きく広がりがありました。
公募展→グループ展へ招待される→個展依頼をいただく→他ギャラリーやアートエキスポからのオファーが来る
実際、こんな風に数珠つなぎに広がってくれました。
 
 

海外で展示した、という実績が営業ツール、精神的支柱になる

 
 
正直、私の絵はあまり日本ではウケませんでした。
美大時代から実際に海外で展示ができるまでの7年ほど、作品を作っては公募展やコンペに出してみたものの、せいぜい入選に入るくらいがベストで、あまり評価はされませんでした。
もう、作家活動やめようかな、と思ったり、スランプに陥ったりもしました。
腐れそうになりながらもなんとか継続していたら、ご褒美が回ってきたのか、オーストラリアのギャラリーからオファーが来ました。
そこからは前述したように、どんどん輪が広がっていきました。
自分には評価してもらえるフィールドがある、自分の絵を買ってくれるマーケットができつつある、そういったものが非常に精神的な助けとなり、自信を与えてくれました。
最近は、新しいことへチャレンジするべく、日本での展示や、海外でもまだ経験のないアジア地域への進出を考えています。

売り込みの際、自身の展示経験や、販売実績は必ず「おお!すごいね。」と言ってもらえます。

これは入り口のご挨拶としては、かなり良い引きつけになっています。
そうなると、「お〜どれどれ」と積極的にポートフォリオを見てもらえます。

以前の自分なら、どうせ評価されないし、と卑屈になったり、腰が引けていたかもしれません。

やはり、どんな職業でもそうですが、実績や経験は何よりも大きな営業ツールになります。
海外での経験は、自分に自信のなかった私に大きなものを与えてくれました。

 
 
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最後に


 

ブルックリンでの個展の時、色々な方が来てくださいました。

中でも特に印象的だった方の一人に、NYで日本食の超人気店を経営する方が来て下さいました。

そんなすごい方が、私みたいな無名アーティストの展示に来てくださることも驚きでしたが、何よりフレンドリーで、対等に、かつリスペクトを持って接してくださることに驚きでした。

その方は、
「NYはアーティストに優しいってよく言われるんだけど、別に優しくはない。でも、チャンスだけはゴロゴロ転がっているのは間違いない」

とおっしゃいました。
渡米して、短い滞在時間でしたが、それは肌でひしひしと感じました。
明後日帰る、という私に「えー!?なんで?」「こっちに住めばいいのに」と来館してくださった皆がこぞって言いました。
それは

「ここは“アートでご飯食べていける”、っていう夢みたいなことが、自分次第で叶う場所だよ?」

私にはそう聞こえました。

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ayashimohara

1986年生まれ 京都嵯峨芸術大学でデザインを学んだのち、アクセサリー制作会社にてレディース服飾雑貨、アクセサリーのデザイナーを経験後、ティーン・子供向けアパレル商品制作会社にてテキスタイル図案デザイナー・イラストレーターとして勤務。 在職中から、個展、展覧会に多数参加し、アート活動を精力的に行う。主に女性を中心に人物イラストを作成し、海外ライクなカラーリングや作風が受け、ニューヨーク、ロンドン、シドニーなど多くの海外ギャラリーで活動。 写実的なリアルなイラストから、アメコミのようなポップなテイストも制作。また、絵の具や鉛筆を使った手描きも、パソコンを使ったグラフィカルなデジタルイラストも、色々なテイストのイラストレーションを制作。アパレル会社でのデザイン経験から、ファッションやトレンドを意識した作風で、アパレル商品や、女性向けイラストなどに作品をご提供。様々な媒体で活動中。 商業イラストだけでなく、アート活動も随時行なっておりますので、展覧会やアートエキスポなどのお誘い、ご依頼も承っております。
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